ガンダムシリーズ全部観るブログ

ガンダムシリーズを見たことない「ごまさば将軍」が1話ずつ観賞して感想を書きます。

パオロはなぜ死んだのか?少年達に託されたホワイトベース~機動戦士ガンダム 第4話「ルナツー脱出作戦」感想

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ルナツー脱出作戦

ルナツーの位置

冒頭のシーン、月と地球とルナツーが順番に描かれ、ルナツーが地球を挟んでちょうど月の反対側に位置することが分かる。わずか10秒程度だが実に巧みな構図だ。図やナレーションで説明してもいいところだが、視覚的な説明にこだわったところにプロの技を感じた。

ちなみにルナツーが存在するのはラグランジュ点と呼ばれる地点で「天体と天体の重力で釣り合いが取れる『宇宙の中で安定するポイント』である。」

レクリエーションサービス?兵員接待?

連邦兵「レクリエーションサービスどこに行っている?兵員接待の準備できているのか?」

マダガスカルという名の軍艦が入港中である。その際、連邦兵の「レクリエーションサービス」「兵員接待」というセリフがでてくる。

文字通り受け取れば、ルナツーへ入港する軍艦のクルーたちへの「おもてなし」ということだろう。ジオンとの戦争中、しかも連邦軍の最前線基地であるにもかかわらずこうした「おもてなし」をしなければならないところが連邦軍の腐敗、堕落を物語っている。

ただし、こうした「おもてなし」を受けることができるのは正規の軍艦だけであり、そうではないホワイトベースの扱いはだいぶ違う。

ルナツーに無事到着したが...

ブライト「我々は民間人を100人以上連れているんですよ。それだってサイド7が攻撃されてやむなく脱出してきたんです。味方の基地に着いたというのに休むこともできないなんて、そんなことありますか?」
ワッケイン「君の質問には私が答えよう。ルナツー方面軍司令ワッケインだ。君がブライト・ノア君だな」
ブライト「は、はい。避難民達はとても疲れています。基地で落ち着ける場所をさがしていただきたい」
ミライ「ジオン軍の追跡を受けて休まる間もなかったんです」
ワッケイン「民間人を収容しておく余地はないな」
ブライト「そんな」
ワッケイン「皆さん方はこのままここにいていただきます。地球連邦軍本部の指示を仰いで、しかるべき艦でただちに地球へ移動してもらうことになります」

ルナツーに無事到着したホワイトベースだが、100人以上いる避難民たちは休む間もなく地球へ移動となるようだ。

ルナツー連邦軍の最前線の軍事基地なので、もともと民間人を多数逗留させることは想定されてないだろうし、そんな余裕も連邦軍にはないはずだ。どうにかこの避難民達にはよそへ行ってもらいたいというのが本音だろう。

連邦軍の一方的な決定に驚きや不満を漏らす避難民たち。

戦争によって民間人は翻弄され住む場所も追われてしまう。それは科学技術が進歩・発展した未来においても同様だという普遍的事実を描いている。

この場面に限らず、この回ではワッケインのいや~な感じが強調されている。いかにも軍人といった立ち振る舞いで融通が利かない印象だ。「地球連邦軍本部の指示を仰いで」という点も官僚主義的である。

ちなみにワッケインがもっているのはたぶんこれ。ラグランジュ点に小惑星を設置できるくらい技術の進歩した宇宙世紀にあっても大活躍なようだ。

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隔離されるブライトたち

ワッケイン「次の者は一般避難民とは隔離する。ブライト・ノアミライ・ヤシマリュウ・ホセイセイラ・マスカイ・シデンハヤト・コバヤシアムロ・レイ
ブライト「わけを、わけを聞かせてください!」
ワッケイン「士官候補生と民間人がみだりに軍のトリプルAの秘密、すなわちホワイトベースガンダムを使用したことによる。全員軍事裁判にかけられるものと覚悟しておくことだ。ホワイトベースは没収、ガンダムは封印して軍の管轄下に戻す。以上だ」

ワッケインは必要最小限の説明しかしない。「以上だ」とさっさと話を切り上げる。「お前たちと話をするつもりはない」といった態度がありありだ。しかも語彙がそこそこ難しい。当時テレビ放送を見ていたちびっ子たちは理解できただろうか。

なお、ここまでブライトは正規の軍人と思っていたが、どうやら士官候補生のようだ。

アムロ「身勝手じゃありませんか。サイド7がどういう状態だったか調べもしないで、よくもそんなことが言えますね?」
ワッケイン「・・・」

「身勝手だ」と抗議するアムロだがワッケインは何も言わない。アムロを一瞥して去っていく。全く相手にしていない。

軍人の民間人に対する身分意識・差別意識

ワッケイン「艦長、ルナツー司令ワッケインです」
パオロ「ホ、ホワイトベースの修理と、こ、子供達を...」
ワッケイン「あとは私にお任せください。お心置きなく傷のお手当てを」

ワッケインは正規の軍人には敬礼をする。パオロが担架で運ばれてきたシーンでもパオロに対しては敬礼をしている。しかしブライトたちにはしない。

また、言葉遣いも、パオロに対してのみ「あとは私に任せください。心置きなく傷の手当てを」と過剰なまでの敬語を使用している。対してブライトたちには尊大な態度だ。

ワッケインにとってブライトたちや民間人らは敬意を表すべき相手ではないということだ。

こうしたちょっとした仕草や言葉遣いでワッケインやその部下たちの身分意識・差別意識が描かれる。

なお、パオロもここまで窮地を何度も潜り抜けてきたブライトたちを「子供たち」と表現している。ワッケインほどではないかもしれないが、パオロとて同様の身分意識・差別意識から完全に自由ではない。

汚い大人と純真な子供たち

ワッケインは上の者には敬意を表すが下の者には態度を変えるという「汚い大人」そのもの。他方、ブライトやミライ、アムロが訴える内容は純真で正論だ。

こうした「純真無垢な少年たちの前に立ちはだかる汚い大人」という構図は少年少女の成長物語の典型であり、機動戦士ガンダムでもアムロ達の成長を描いていきますよというメッセージである。ちびっ子たちがアムロたちに感情移入しやすくするための装置にもなっている。

堕落した連邦兵

連邦兵「ガンダムの封印が終わったらガンタンクだ」
連邦兵「ガンタンクはどうする?こいつはバラバラだぜ」
連邦兵「封印しとけ。ワッケインはあれでうるさいんだから」

第3話でパプワ補給艦を沈める大活躍を見せたガンタンクがバラバラとはということだろうか。特に破損するような描写もなかったはずだが。

上司の顔色をうかがいながらお仕事をする連邦兵。官僚主義的で、ミスをしないこと、上司に怒られないことを優先する姿勢は連邦兵の堕落ぶりを表している。軍隊としての統制はとれているとしても、末端の兵隊の士気はかなり低い。

ここまでジオンに負け続けの連邦軍だが、その要因はこうしたところにもあるのではないかと思わせるシーンである。

馬鹿にされるブライト

ブライト「ムサイが来ます。あのまま赤い彗星のシャアが追撃をあきらめたとは思えません。今ガンダムを封印することは」
ワッケイン「君に戦略をうんぬんする資格はない」
ブライト「あなたは赤い彗星の恐ろしさを知らないんです」
ワッケイン「正規の軍人でない君の判断ならそうも思えるだろうな。だがな、赤い彗星といえば名だたる戦士だ。彼がムサイごとき軽巡洋艦でこのルナツーに挑むような馬鹿なマネはしない」

完全にブライトを馬鹿にするワッケイン。「軽巡洋艦でこのルナツーを襲撃する奴はいない!( ー`дー´)キリッ」と言い終わった次のシーンで否定されるのだから少しかわいそうではある。第3話ではブライトがミライやセイラから集中攻撃をうけていたが、第4話ではワッケインにお鉢が回ってきている。

ミノフスキー粒子の性能判明

シャア「敵を目の前にしても捕捉されぬとは奇妙なものだな。科学戦もつまるところまで来てしまえば大昔の有視界戦闘に逆戻りというわけだ」

このシャアのセリフでようやくミノフスキー粒子の性能が判明した。この粒子が充満する空間ではレーダー探査ができなくなる、そのため索敵は目視によらなければならない。「有視界戦闘に逆戻り」とはこういうことだろう。

また、レーダーが使えないということは濃霧の中で戦闘を行うようなもの。大型の戦艦よりもモビルスーツのような小型の兵器でひそかに接近、奇襲を仕掛けるのが最適解というわけだ。

ジオン軍がここまで戦争を有利に進めていたのはモビルスーツを先に開発していた点が大きい。

逆に考えれば、連邦軍モビルスーツを開発したことはこのジオン軍の優位性を覆すものであり、ドズル、シャアがガンダムにこだわる理由もここにある。

アルテイシア回想

シャア「(もしやあの時の少女が10年前に別れた妹の、いや、アルテイシアにしては強すぎる。そう、アルテイシアはもっと優しい)」

シャアとセイラが離れ離れになったのが10年前。戦争が始まったのが9か月前だから、戦争が2人を分かったわけではないようだ。

第3話、セイラとブライトの会話のシーンで、セイラはサイド7に来る前は地球にいたという。アルテイシアがいるであろう地球を眺めつつシャアが回想する。

相変わらずシャアは優しい優しいアルテイシアに浸っている。セイラに銃口を向けられたのが余程ショックだったのだろう。

セイラがアルテイシアであった場合、ルナツーに攻撃を仕掛ければアルテイシアを危険にさらすことになる。それだけは避けたいシャア。

「あんな強い女がアルテイシアなわけがない。アルテイシアはもっと優しいんだ!」と自分を納得させ、ルナツーへの攻撃を決断する。

シャアはアルテイシアを危険にさらす作戦行動には出られない。これはシャアの弱点といってよいだろう。

ルナツー潜入!

ノーマルスーツでルナツーに潜入するシャア。確認する範囲でジオン兵はシャア含めて12~15人のようである。

ワッケインは「軽巡洋艦でこのルナツーを・・・( ー`дー´)キリッ」といっていたが、シャアの戦術の方が一枚上手だった。

ガンダムの性能の説明

アムロ「だからブロック接続レバーが2段になってる点を忘れなければいいのさ。この操作がジオンのザクと決定的に違うってことなんだ」
カイ「ほんじゃあさ、ガンダムが最高にジオンのザクより優れてるってのはなんなんだよ?」
アムロ「戦闘力さ。今までのザクタイプのモビルスーツと違って、戦いのケーススタディが記憶される」
カイ「ケーススタディが記憶される?ってことはガンダムって戦闘すればするほど戦い方を覚えて強くなるって理屈か?」
アムロ「そうさ。しかも操縦の未熟な僕でさえ歴戦の勇士のシャアとどうにか戦えたのは僕の上手下手よりガンダムの教育型コンピューターの性能がいいってことだよ」

・・・
アムロ「コンピューター管理で操縦ができる。教育型タイプコンピューター。すごい、親父が熱中するわけだ」(第1話)


第1話で連邦の極秘資料を読み耽っているときのアムロの独り言をカイとの会話形式で詳述してくれた。第1話~第3話ではあり得なかった説明ゼリフだ。

先のシャアのミノフスキー粒子の説明にしろ、このアムロの説明にしろ、この回は登場人物がセリフで詳しく説明してくれるわかりやすい回である。

シャア襲来

そんなのんきなお話をしているときについにシャアが襲ってきた。ルナツーの電源部分がやられ遠心重力装置がストップ。無重力状態となる。

遠心重力装置はぐるぐる回転して疑似的な重力を作り出す装置だ。それがいきなり止まったのでアムロたちは慣性によって吹っ飛ばされてしまった。

ここでリュウの顔のすぐそばにフォークが突き刺さるシーンがある。いかにもアニメ的なコミカルな描写だが、無重力状態をきちんと表現しているという意味で細かな演出である。

なお、遠心重力装置についてはこちらのJAXAの説明が非常に分かりやすかったので紹介する。

iss.jaxa.jp

思考停止の連邦兵

電力の供給がなくなった程度で効かなくなる電子ロック制御の扉を開けブライトたちが脱出。セイラ、ミライとともにホワイトベースへ向かう。

ホワイトベースではフラウボウが連邦兵と口論している。

フラウボウ「ジオンの攻撃が始まったというのに、なぜわたし達を安全な所に避難させてくださらないんですか?」
連邦兵「司令からはなんの命令も出てないから」
フラウボウ「じゃあ、わたし達にここで死ねって言うんですか?」
連邦兵「い、いや、そう言ってるわけじゃないんだ」
フラウボウ「だったら早いとこ司令と連絡を取ってなんとかしてください」
連邦兵「し、しかし、司令は今それどころじゃないだろうし」

フラウボウの抗議はもっともである。民間人を安全な場所に避難させることも軍隊の役割の一つだ。

しかし、連邦兵は上官の命令がないからといって動かない。フラウボウが「ならさっさと司令と連絡を取れ」というと「司令も今はそれどころじゃないだろうし・・・」と歯切れが悪い。

この回をとおして連邦兵は官僚主義的で上官の命令にのみ従い、命令がなければ動かない。完全な思考停止状態にある。だからこそ少年少女のまっすぐさ、純真さが映えるのだ。

ここでブライトとアムロのコンビネーションツインキックが連邦兵にクリーンヒット。ホワイトベースガンダムでシャアを迎え撃つ準備に入る。

マゼランが港の出入口をふさぐ!

シャアの仕掛けた機雷によって出港途中のマゼランが港の出入口をふさいでしまった。小型艇で撤退するワッケインたち。

ワッケイン「きさまらそこで何をしとるか!ホワイトベース立ち入り禁止は厳命したはずだ」
アムロ「シャアと戦えるのはガンダムしかないんです!」
ワッケイン「すぐに退去したまえ!」
ブライト「反逆罪は覚悟の上です。ワッケイン司令。あなたの敵はジオン軍なんですか?それとも私達なんですか?」
ワッケイン「きさま。今、君に軍紀がなぜ必要なのか説明したくはないが、定められた命令は厳守だ」
ミライ「軍紀軍紀、それがなんだって言うんですか。軍人が軍紀に則って死ぬのは勝手です。でも、ほかの民間人がその巻き添えになるのは理不尽ではないでしょうか、ワッケイン司令」

ワッケインはあくまでも軍人であり、軍紀を重視する姿勢を崩さない。軍人としての訓練を受けた者としては当然だろう。

そんなワッケインに少年少女はキラッキラした素朴で純真な正論を浴びせかける。背筋がむず痒くなるほどの正論である。

しかし、その言葉はワッケインには届かない。もともとワッケインはブライトたちのことなど眼中にないのだから「生意気にも小賢しいことを言いおって」という程度しか考えてないだろう。

ブライトたちに託されたホワイトベース

パオロ「どうだろう、ワッケイン君、ホワイトベースにしろ、ガンダムガンキャノンガンタンクは今まで機密事項だった」
ワッケイン「はい」
パオロ「だからなのだ。不幸にして我々より彼らの方がうまく使ってくれるのだ。すでに2度の実戦の経験がある彼らに」
ワッケイン「しかし、艦長」
パオロ「そう、しかし彼らはしょせん素人だ。司令たる君が戦いやすいように助けてやってくれたまえ。わしが責任を持つ」
ワッケイン「・・・わかりました、艦長のお言葉に従います」

結局ワッケインを説得できたのはパオロの「わしが責任をもつ」という「大人の言葉」である。

ワッケインも「艦長のお言葉に従います」と答える。ワッケインは少年少女の主張に従ったのではなく、パオロの「わしが責任をもつ」という言葉に従ったのだ。

この場で展開されるのは徹頭徹尾大人の世界の論理だ。大人を動かすには「大人の言葉」が必要なのである。

ともあれ、この瞬間ホワイトベースはブライトたちに託された。

ここまでサイド7でのザクの奇襲から始まってシャアの度重なる襲撃など、ブライトたちは状況に翻弄されっぱなしであった。ホワイトベースガンダムを運用しているのもただのなりゆきに過ぎず、そこに何らの正統性の根拠も見いだせない。強いて指摘するとすれば手負いのパオロを擁していることくらいしかない。

そうした状況でなんとかルナツーに到着し、そこでホワイトベースは取り上げられてしまう。当然の流れだ。ブライトたちにはホワイトベースに乗っていい根拠がないからである。

しかし、パオロの「子供たちに託す」という言葉によって初めてブライトたちはホワイトベースに乗る正統性を得た。ここからブライトたちの物語が本格的に始まるのだ。

このように考えれば、この回でパオロが死んだ理由も明らかになる。パオロは若いブライトたちにホワイトベースを託すという物語上の役割を果たしたために死んだのだ。この回でパオロが死ぬのはただの偶然やなりゆきではなく、物語上の必然なのである。

なお、ここでパオロからブライトたちに託されたのは物語上の正統性であって、地球連邦軍内における正当性ではない。なので地球についた時点で軍事裁判にかけられても文句は言えないだろう。その意味でブライトたちの立場が危ういことには変わりはない。

アムロvsシャア(3戦目)

アムロガンダムリュウコアファイターで出撃。

前方からはシャアの赤ザクと、マチュ、フィックスのザク2機が接近する。ザク2機は第3話でガデムが命がけでシャアに託したものだ。

ルナツーの出入口はマゼランがふさいでしまっているので、連邦軍は軍艦を出せない。戦力的には分が悪いが、果たして!?

シャアは相変わらずの戦上手である。ガンダムの攻撃をすべてかわし反撃する。シャアの攻撃を受けるガンダムは防戦一方だ。リュウの援護がなければ危うい戦いである。

赤ザクの得物のオノがガンダムのバズーカを切り裂く。連邦軍の新型モビルスーツの高性能が強調されがちな中で、ジオンのザクとてやるときはやるのだ。

しかし、ガンダムの二刀流でザク1機を撃破。その爆風を受けて耐えるガンダム

ホワイトベース初の砲撃!

ワッケイン「マゼランを排除する!」

ルナツー基地内でホワイトベースの主砲「メガ粒子砲」をぶっぱなし、出入口をふさぐマゼランを排除する作戦だ。

作中でホワイトベース初めての主砲による砲撃である。しかし初の攻撃目標が味方艦というところに悲哀を感じる。よくよく運のない艦だ。

ブライト「アムロ!通路の前からどくんだ!」
アムロ「え?」
ワッケイン「発射!」

アムロがまだ避けてないぞ!ワッケインアムロに対するいやがらせか。

ホワイトベースのメガ粒子砲の威力がすさまじい。マゼランだけでなく外にいたザク1機もろとも跡形もなく吹き飛ばしている。

先ほど爆風に耐えたガンダムとの対比から、ガンダムの装甲の厚さ、ホワイトベースの砲撃の威力を示す描写である。

アムロとシャアは間一髪で回避に成功。ムサイも危ないところであった。

ザク2機がやられ撤退するシャアとムサイ。今回も危なかったが、ホワイトベースの性能により何とか切り抜けた形だ。

地球へ向かうホワイトベース

地球へ向けて出港するホワイトベース。隣にもう1隻戦艦が並走しているが、これは護衛のためか。

ワッケイン「ジオンとの戦いがまだまだ困難を極めるというとき、我々は学ぶべき人を次々と失ってゆく。寒い時代だと思わんか?」

軍人として数々の先輩士官の死を目撃してきたであろうワッケイン。彼にとってもパオロの死は堪えるようだ。残された自分たちはまだまだ未熟だし、ブライトたちのような少年少女に頼らなければならない苦境を憂いている。「寒い時代」とは詩的な表現だ。この場面のワッケインは実にかっこいい。この場面は。

ブライト「艦長、あなたのホワイトベースは私達の手で必ず地球にお届けいたします」

宇宙へ放たれる艦長。これは宇宙で行う「水葬」である。

ja.wikipedia.org

この場面で着目すべきはだれも敬礼をしていないことである。民間人ばかりといはいえ、ブライトやリュウもしていないことには少々違和感があるが。

カプセルを見つめるアムロたち。悲壮な面持ちである。自分たちが死と隣り合わせの状況にあることを再認識しているかのようだ。

アムロ「(と、父さん、どこに行ったんだろう?)」

アムロの父テム・レイは第1話でコロニーに開いた穴から宇宙へ投げ出されてしまい、行方不明である。アムロはそのことを知ってか知らずか、宇宙に放たれるパオロを見て父を回想する。

前半のシャアがアルテイシアを回想するシーンと韻を踏んでいる。

第4話の感想

冒頭の月・地球・ルナツーの位置関係を描写する構図は本当に見事の一言である。

ストーリーとしてはパオロが死に、ホワイトベースが少年たちに託されるという画期となる回であった。

まっすぐで純真な少年少女と「汚い大人」という対比も、登場人物のセリフや仕草などで丁寧に描かれている。

今回は説明ゼリフが多かった。説明ゼリフはどうしても冗長になってしまうが、そのおかげで「機動戦士ガンダム」の世界の設定や状況をよく理解できた。

全編にわたって作画が安定しない点が気になってしまうが、まぁそういう回もあるさ。

さて、ガデムの形見であるザク2機を失ってしまったシャア。いよいよホワイトベース攻撃の手段がなくなってしまった。

しかし、ここで引き下がるような男ではあるまい。次の手を打ってくるはずだ。

ホワイトベースは無事地球にたどり着くことができるのか!?