ガンダムシリーズ全部観るブログ

ガンダムシリーズを見たことない「ごまさば将軍」が1話ずつ観賞して感想を書きます。

壊滅状態の連邦軍が赤い彗星シャアを撃退できた理由とは?~機動戦士ガンダム 第2話「ガンダム破壊命令」感想

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ガンダム破壊命令

壊滅状態の連邦軍

ザク2機の襲撃を受け大打撃を被った連邦軍

連邦兵「民間人でもいいんだ。男手をまわしてくれ」

正規の兵の大多数がやられてしまって圧倒的人手不足である。艦長も負傷してしまい指揮系統にも不安要素が発生。セイラに促されてフラウボウも治療に駆り出される始末。

ブライト「サイド7に入った者は技師、軍人共に全滅です。たった2機のザクのために。負傷兵の中で戦闘に耐えられる者は10名とはおりません」

まさに壊滅状態である。

ホワイトベースは何人乗り?

ホワイトベースの規模の軍艦を動かすのにどれくらいの人間が必要なのだろうか。

超弩級戦艦大和は3000人以上の乗組員がいたという。そこまでの規模ではないとしても、少なくとも数百人以上は乗組員がいると考えるべきだろう。

それが残り10名というのであるからもはや戦争どころではない。ホワイトベース自体を動かせるのかどうかというレベルであろう。

ミライ・ヤシマ 

ミライ「あ、あの、クルーザー級のスペースグライダーのライセンスが役に立つとは思いませんが、わたくしでよければ」
パオロ「君は?」
ミライ「ミライ・ヤシマと申します」
パオロ「そうか、あのヤシマ家の」

ミライがホワイトベースの操縦を志願。パオロがその名前を聞いて「あのヤシマ家の」と反応した。どうやらミライはいいところのお嬢さんのようだ。

新型モビルスーツの性能が気になるシャア

一方、ジオン軍。右腕を負傷したスレンダーが状況報告。

シャア「連邦軍モビルスーツが君の言う通りの性能とはやや信じがたいが」

と半信半疑の模様。このあとガンダムの性能にビビりまくることになるとも知らずに。

ドズル中将

シャアの上司、ドズル中将の登場である。

ドズル「ゆうべはな、きさまの作戦終了を祝うつもりでおった。きさまがもたもたしてくれたおかげで晩餐の支度はすべて無駄になったんだ、ええ」

「きさまのせいで晩餐は無駄になった」と強い口調で言ってはいるが、その実は部下思いの優しい上司である。

シャア「私もよくよく運のない男だな。作戦が終わっての帰り道であんな獲物に出会うなどとは」(第1話)

シャアは作戦終了後、帰還途中に連邦の新造戦艦ホワイトベースを発見し、サイド7へ急遽向かうこととなった。ホワイトベースさえ見つけなければ昨夜のうちにドズルのもとに帰還し、おいしいご飯にありつけたのだろう。よくよく運のない男である。

補給を求めるシャア

ドズル「モビルスーツザクを3機もなくしたのか?」
シャア「は、中将。そのうちの2機は、連邦軍のたった1機のモビルスーツのために」

ここのやり取りは少々変だ。

第1話でサイド7に潜入したザクは3機。そのうち2機(ジーンとデニムの分)はガンダムが撃退した。

しかしスレンダーの乗っていたザクはまだ健在のはずである。第1話でもスレンダーのザクは破壊されていない。また、このあとスレンダーのザクとシャアの赤いザク合計2機でガンダムと対峙するシーンがある。

ドズルに「3機もなくしたのか」と言われたシャアはそれを否定しなかった。2機失ったといえば補給は2機、3機失ったといえば補給は3機、多く補給してもらえるならそちらが得策と考えたのだろうか。

V作戦のデータを得るために再びサイド7へ

補給を待たずに再度サイド7に潜入したシャア。

ザク2機を失ったとはいえ連邦軍に与えた被害も甚大だ。連邦軍が態勢を立て直す前に一気に作戦を進めた方がよいとの判断だろう。

連邦軍モビルスーツをカメラに収め、ドズルの命令を的確にこなしていく。実にできる男である。

パオロとブライトのアムロ

ガンダムを操縦していたのが子供だったことに驚くパオロとブライト。

ブライト「なぜそこにいる?」
アムロ「その声はさっき無線で僕にガンダム関係の部品を運べって命令した人ですね?」
ブライト「艦長、降ろさせます。」
パオロ「パイロットが、生き残っていたらな。」

ここのやり取りはアムロのガキっぽい反応とブライトの見切りの早さが見ものである。

ブライトはガンダムに乗っているのは「サイド7でテストをやっていたパイロット」ではないかと思っていたが、ふたをあけてみれば乗っているのは子供だった。

ブライトの「なぜそこにいる」という問いは「なぜお前みたいな子供が乗っているんだ?」「正規のパイロットはどうした?」という意味である。それに対するアムロの回答は「さっき俺に命令したヤツだな」というなんとも子供じみたものだった。

この回答をきいてブライトはこいつにガンダムは任せられないと即断し、「降ろさせます。」といっている。つまりブライトの中で「アムロは降板」となったわけだ。子供だろうが容赦はない。

しかし、パオロの判断は若干アムロ寄りで、「パイロットが生き残っていればアムロは降板、生き残っていなければ続投」という判断である。現にガンダムを動かしていること、ザク2機を撃退したことからすればアムロを続投させる判断も十分アリだろう。

血気盛んな若武者ブライトと酸いも甘いも噛み分ける往年の熟練兵パオロの対比が小気味好いシーンである。

カイとセイラ

セイラ(ぺしっ!)「それでも男ですか、軟弱者」
カイ「な、なんだってんだよ!」
セイラ「あなたみたいな人、サイド7に一人で残っているといいんです」
カイ「お高くとまりやがって。あ、あんた、セイ、セイラとかいったよな?」
セイラ「そんな不良みたいな口の利き方おやめなさい。」

初登場シーンでいきなりセイラにぶたれるカイ。

このシーンはカイのクズっぷりがよく出ていて個人的に好きである。

リュウがけが人をエレベーターに運び込もうとしているのに「乗るのか?」はないだろう。けが人も乗せずに一人で行くつもりだったのか。

さらに「あ、あんた、セイ、セイラとかいったよな?」という発言は「お前の顔と名前は覚えたぞ」といういかにもチンピラっぽいものだ。

第一印象最悪のカイとセイラ、今後どうなっていくのか。最近のアニメなら「どうしてこの2人が!?」的な展開もあるかもしれないが、多分くっつくことはないだろう。(予言)

パオロとブライトのアムロ評(2度目)

再びホワイトベース内、アムロとパオロとブライトの会話である。

パオロ「ガンダム関係の部品で使えない物はすべて処分させろ。ガンダムにはビームライフルを用意させよう」
パオロ「初陣にはやや若すぎるが、古来15~6歳の出陣がなかったわけではない、君達に期待する」
ブライト「は、艦長。アムロ、聞こえるか。サイド7に残ったガンダムのパーツを破壊しろ」
アムロ「どうしてです?まだ3機分ぐらいは」
ブライト「ジオンに機密を渡すというのか?」
ブライト「やり方はわかるか?」
アムロ「ス、スーパーナパームとかいうのを使うなら」
ブライト「艦長」
パオロ「アムロ君の判断は的確だ。任せなさい。」

ブライトがアムロにサイド7に残ったガンダムパーツの破壊を命じる。これに対するアムロの返事は「どうしてです?」。

軍隊の基本は上意下達。トップが決めた作戦をその通りに遂行するのが現場の兵士の役目である。きちんとした軍事訓練を受けているブライトにしてみれば、上官の命令に対して「どうして?」と聞き返すアムロはイライラする存在だろう。軍隊の何たるかが分かっていないのだ。

ブライトとアムロはうまくやっていけるのだろうか。先行きは決して明るくはない。

セイラとシャア

シャアがセイラの銃を蹴り飛ばすシーン。距離感がおかしい気がするがまぁいいか。

セイラとシャアはどうやら兄妹のようだ。一方がジオン、他方が連邦に所属し、兄妹で殺し合う構図になっている。ここに至るまでにこの兄妹に何があったのだろうか。今後の展開が気になる演出である。

シャア「アルテイシアにしては強すぎる」

カイもひっぱたかれたしね。

この兄妹、どれくらい離れ離れだったのかは分からないが、シャアにしてみれば幼いころの優しい優しいアルテイシアの面影もないセイラにびっくりしたのだろう。

しかし、かなしいかな、人は成長し変わっていくのである。思い出の中のアルテイシア固執してしまうようならそれがシャアの弱点となりかねない。

シャア逃走

逃走中にカメラを破壊されたシャア。連邦軍の新型モビルスーツの情報を持って帰るという目的は潰えてしまった。しかし手際よく手榴弾で突破口を開きなんとか逃げ延びる。

戦場で人を撃てるか?

ガンダムで出撃したアムロが逃げるジオン兵を狙撃しようとするがなかなか撃てない。数時間前まで一民間人だったアムロが撃てないのも無理はない。

第二次世界大戦でも、次のような事実がありました。アメリカの陸軍の場合、敵との遭遇戦に際して、火線に並ぶ兵士100人のうち、平均してわずか15人から20人しか「自分の武器を使っていなかった〔発砲しなかった〕」のです。その割合は、戦闘が1日中続こうが、2・3日続こうが、常に一定でした。何千・何万という兵士を対象に調査をしても、その結果は同じでした。
戦争と文化(5)――戦闘でも人は人を殺さない!

ことほどさように人は人を撃てないのである。これを克服するための訓練法が開発され、時代が下るにつれ、発砲率・命中率が「改善」していく。

第二次世界大戦では発砲率が15-20%だったのに、朝鮮戦争では55%に、ベトナム戦争では90-95%に上昇しました(ただし、グロスマンの挙げた数字を信じるならば、命中率については上述のとおりです)。現在では、さらにリアルな訓練法が開発され、発砲率・命中率ともに上がっているはずです。
戦争と文化(5)――戦闘でも人は人を殺さない!

前半パートでパオロが受傷するシーン、砲台にいるパオロに「代わります」というリュウ。パオロはこうかえす。

パオロ「パイロット候補生の君に撃てるのか?」

パオロは戦場で兵士が「撃てない」ことを十分に分かっている。

その意味で、逃げるシャアをためらいつつも銃撃しているハヤトやカイはなかなかすごいと言えなくもないが、どこまで本気で狙っていたかは推して知るべしであろう。

なお、この手の話しでよく引用されるマーシャルの研究については、近年になって疑問も呈されているようだ。

例えば、元米陸軍指揮幕僚大学教授で軍事史家のロジャー・スピラーは、マーシャルの死後にテキサス大学図書館に寄託されたマーシャルの資料の中に、兵士に発砲の有無を問う質問の記録はなく、マーシャルの元同僚の証言もないことも明らかにし、発砲率に関するデータは裏付けがない捏造とみています。(『戦場の兵士の大部分は敵を射撃しない』という神話

人は人を撃つことができるのか、今後のさらなる研究が待たれる。

ホワイトベース出港ーアムロvsシャア

いよいよホワイトベースがサイド7を出港した。しかし、赤い彗星のシャアがザクで出撃。それを知ったホワイトベースクルーの顔色が変わる。

パオロ「ルウム戦役で5隻の戦艦がシャア1人の為に撃破された。に、逃げろ。」

ガンダムの性能にまかせてシャアに挑むアムロ

ブライトがとめるのも無理はない。ここでガンダムが破壊されてしまえばホワイトベースも無事ではすまない。連邦軍のV作戦は失敗に終わる。

シャアの動きはまさに百戦錬磨。自分の手足のようにザクを操りガンダムの攻撃をかわしつつ、反撃も行う。しかし...

シャア「どうだ!ば、馬鹿な、直撃のはずだ」
シャア「速い、な、なんという運動性。」
シャア「ス、スレンダー。い、一撃で、一撃で撃破か。な、なんということだ、あのモビルスーツは戦艦並のビーム砲を持っているのか」
シャア「火力が違いすぎる」

「当たらなければどうということはない」とか言いながら、終始ビビりっぱなしのシャアである。

シャア撤退

シャアにとって恐るべきはガンダムビームライフルである。おそらく1対1ならかわすこともできるだろうが、コアファイターの援護がある場合は難しい。スレンダーのザクもやられてしまい、援護も得られない。補給前で増援も期待できない現状では引くしかないと判断したのだろう。

しかし、実際にはガンダムビームライフルはエネルギー切れ。シャアが撤退せず攻撃を継続していたらガンダムを撃退できたかもしれない。

お互い相手の手札のすべてが見えているわけではない状況下、連邦軍はまさにギリギリのところでシャアを追い払うことに成功したのである。

アムロとブライトの初対面

ブライト「ガンダムの性能をあてにしすぎる、戦いはもっと有効に行うべきだ」
アムロ「な、なに!?」
ブライト「甘ったれるな。ガンダムを任されたからにはきさまはパイロットなのだ。この船を守る義務がある」
アムロ「い、言ったな」
ブライト「こう言わざるをえないのが現在の我々の状態なのだ。やれなければ、今からでもサイド7に帰るんだな」

ブリッジに呼ばれたアムロ

ガンダム赤い彗星のシャアを撃退した、自分がガンダムを動かしてなければ全滅もあり得た、ねぎらいの言葉くらいはあってもいいのではと思っていたのであろう。ブライトからいきなりお小言に泡を食った様子である。

ただの民間人で偶然居合わせただけのアムロにとって少々キツい気もするが。

しかし、ブライトの立場からすれば、他にパイロットもいない中でガンダムアムロに乗ってもらうしかない。戦い方に上官から指導が入るのは当然だ。「甘ったれ」はいらないのである。

ルナツー

ナレーション「ルナツー、宇宙都市建設の鉱物資源をうるために運ばれてきた小惑星である。今、ここには連邦軍の最前線基地がある」

資源獲得のために小惑星を運んでくると聞くと、そんな絵空事をと思ってしまうかもしれないが、現在大真面目に研究が進められている分野である。

www.ibm.com

近年サンプルリターンに世界で​初めて成功し映画にもなった「はやぶさ」もこれに関連するものである。

第2話の感想

赤い彗星シャアを撃退し、ホワイトベースは危機的状況を一旦は脱した。

しかし、正規の兵はほとんどおらず、乗員は素人民間人ばかり。ガンダムも扱いの難しそうなパイロットに頼るほかない。ルナツー連邦軍基地へたどり着ければ一安心といったところか。

しかし、補給が終わればジオン軍がさらなる攻撃を仕掛けてくることは目に見えている。はたしてホワイトベースの運命は!?

この回も非常に内容の濃い回であった。手に汗握る展開の連続で、しかもその中に登場人物の心情や過去にまつわる表現がちりばめられている。緻密なストーリーテリングである。

記事を書く自分もつい力が入ってしまった。まさか6000字になろうとは。このペースで書くとすれば「機動戦士ガンダム」の感想を書き終えるまでに1年くらいかかってしまいそうだ。